政治家のニュースを見ていると、その発言内容に注目が集まりがちですよね。
でも、ちょっと視点を変えて、**「話し方」や「声のトーン」**に耳を澄ませてみると、とても興味深い発見があります。
自民党の高市早苗新総裁は、当選後のスピーチでこの使い分け戦略を行っていました。
話す相手やシチュエーションによって、まるで別人のように声の印象が変わるんです。
この記事では、高市さんのスピーチをヒントに、その巧みなイメージ戦略とメッセージの伝え方について、分かりやすく解説していきます。
高市総裁が使い分ける2つの「声」
「今(自民党の)人数少ないですし、馬車馬のように働いていただきます」
「私自身もワークライフバランスは捨てて、働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります!」
これらの発言が強烈なインパクトを残した自民党総裁選。
(この後、石破さんのスピーチで「ワークライフバランスは捨ててなんて大丈夫か~」といじられるまでがセットでしたね笑)
この発言の揚げ足を取るよりも、その後の記者会見と見比べたとき、高市さんの話し方に、大きく分けて2つの「声」があることに気づきます。
それは、党の仲間内に向けた「リーダーの声」と、私たち国民に向けた「対話者の声」です。
① 党を鼓舞する「力強いリーダー」の声
まず一つ目は、総裁選直後に党員に発破をかけた「馬車馬」の時の声。
この時の声は、低めで、鋭く、非常に力強いのが特徴。「党の結束を固めるぞ!」「目標に向かって進むぞ!」という強い意志を感じさせ、聴いている仲間たちの士気を高めるような話し方をします。
言葉に迷いがなく、ハキハキと語る姿は、まさにチームを引っ張る**「頼れるリーダー」**そのもの。これは、組織を一つにまとめるための、戦略的な声のトーンと言えるでしょう。
② 国民に寄り添う「穏やかな対話者」の声
ところが、その後記者会見、記者(つまりその先にいる国民)の前では、声の印象がガラリと変わります。
会見の冒頭から、とても穏やかで、落ち着いたトーンです。
話し方のスピードも、リーダースピーチに比べるとゆっくりで、声のトーンも気持ち高めです(しかし、元々低めで、とてもいい声だと思います)。
特に印象的だったのが
「〇〇テレビの△△です」と、本題に入ろうとする記者に対して
「こんばんは」
と返すやり方。
挨拶でペースを奪って、記者を落ち着けている印象でした。
(私としては、記者も挨拶返せよと思いましたが、映ってないので、もしかしたら会釈等したのかもしれませんね)
一つひとつの言葉を丁寧に選び、アイコンタクトを行いながら、聴き取りやすいトーンで語りかけます。
この話し方は、私たち国民に「ちゃんと向き合ってくれていますよ」という安心感や信頼感を与えますよね。
高圧的な印象を消し、「対話」を重視する姿勢を見せることで、より多くの人に自分の考えを届けようとしているのが分かります。
最後に、「お時間ありがとうございました」と締めくくることで、完全に場をコントロールしていました。
なぜ高市総裁は「声」を使い分けるのか?その目的とは
では、なぜ高市さんはこれほど巧みに声を使い分けるのでしょうか?
その最大の目的は、**「メッセージを届けたい相手に、最も効果的な形で想いを伝えるため」**だと考えられます。
考えてみれば、これは私たちの日常生活でも同じかもしれません。
友だちを励ますときと、仕事でプレゼンをするときでは、自然と話し方や声のトーンを変えていますよね。
- 組織を動かすためには、力強く、明確なリーダーシップが求められる。
- 国民の理解を得るためには、丁寧で、共感を呼ぶ姿勢が重要になる。
高市さんは、この原則を深く理解し、政治家というプロの立場で、意識的に「声」というツールを使いこなしているのです。
その背景には、緻密に計算されたセルフプロデュース能力と、優れたコミュニケーション戦略があると言えるでしょう。
高市さんは敢えて、「初の女性総理」というコピーをを自分では封印して総裁選を戦っていたような印象がありましたが、この、声の使い分け戦略は、今までの男性総裁たちにはできなかったことだったように思います。
私の意見ですが、柔らかい印象を与えてもネガティブには働きにくい、「女性であることの強み」を当選後にうまく使っていたような気がします。
(男性だとどうしても、柔らかい印象を与えると舐められがちなので、とくに政治家は、ムスっとして舐められないように演出している人が多い気がします)
まとめ:スピーチは「何を言うか」と同じくらい「どう言うか」が重要
今回は、高市早苗さんのスピーチを題材に、「声の使い分け」というテーマでお話ししました。
政治家の言葉を聴くとき、その内容だけでなく**「どんな声で、どんな表情で話しているか」**に注目してみると、その人が本当に伝えたいことや、人柄まで見えてくるかもしれません。
次にテレビで政治家のスピーチを見る機会があったら、ぜひ少しだけ「声」に耳を傾けてみてください。
きっと、今まで気づかなかった新しい発見があるはずですよ!