こんにちは!歴史学科考古学専攻卒・地中海沿岸の歴史大好きな料理研究家・Ruiです。
料理の持つ背景や歴史を知れば、料理が3倍面白くなる!
てことで、ぼくの大好きなパスタを中心に、歴史的な背景や成り立ちを調べていくブログを始めます。
第8回は満を持して一番人気、ボロネーゼを紹介していこうと思います!
1、街の名は―
ボロネーゼは、エミリア・ロマーニャ州の州都ボローニャのいう街で生まれました。正式名称をラグー・アッラ・ボロネーゼと言います。ラグーは仏語で「煮込む」指し、「ボローニャ風煮込み」という意味です。
ボローニャは古くから交通の要所として栄えた街で、現在でも自動車や鉄道のハブ駅として活躍しています。
ちなみに、中田英寿選手が在籍していたイタリアサッカーリーグのセリエA、ボローニャFCが本拠地を構える所でもあります。
人やモノそして情報が行き交う、古くから美食の街と名高いボローニャで生まれたのがボロネーゼです。この街の富裕層が、近くのフランスのラグー(煮込み料理)からヒントを得て、香味野菜やひき肉をワインで煮込んだ贅沢なソースを作らせたことが発祥と言われています。
2、ボロネーゼ=ミートソース?
大ざっぱにいうと「だいたいあってる」、厳密にいうと「細かな違いがある」です。
ぼくが思うに2つの相違点は、
- 肉とソースどちらが主役か
- 使うパスタの種類
ではないかと思われます。
どちらもひき肉や香味野菜を使ったソースではあるのですが、前述の通りボロネーゼはボローニャ発祥、ミートソースはアメリカ経由で日本に伝わったものです。イタリア移民がアメリカに持ち込んだものが、戦後日本に持ち込まれ日本人の舌に合うようにアレンジされたと考えられています。その後、ナポリタンと同様に洋食の定番の1つとして定着しました。現在もレストランや喫茶店でよく見かけるメニューですね。
具材を炒めるところまではほぼ一緒ですが、ミートソースはひき肉をできるだけ細かくするのに対し、ボロネーゼはなるべく塊を保ったまま炒めようとします。また、ミートソースはトマトケチャップやウスターソースで味付けするのに対し、ボロネーゼは少量のトマトと赤ワイン+出汁で煮込みます。
たっぷりのソースでひき肉を煮込むのがミートソースなら、主役のひき肉を引き立てるためにあくまで調味料は控えめなのがボロネーゼ、といった印象を受けます。
そして、合わせる麺も重要です。日本では特に家庭料理なら、パスタといえば1.4㎜(フェデリーニ)〜1.6㎜(スパゲッティーニ)の断面図が丸い麺が代表的ですが、イタリアではボロネーゼといえばタリアテッレという幅広のリボン状の麺が一般的なようです。タリアテッレの方が表面積が広いので、ボロネーゼのような濃厚なソースがからみやすいのだとか。このへんは日本のラーメンにも似てますね。濃厚魚介は太麺、あっさり鶏ガラは細麺、といった風に。おそらく、ミートソースは丸い細麺のスパゲッティーニに合うように日本人が改良したのではないかと推測します。
う〜ん、文化ってホント生き物ですね。
3、ケチャップは使わないで!
というわけで今回も早速作ってみました。ひき肉は、粗挽きのヤツを見つけたので、こっちの方が面白いと思って。今回は肉を味わいたくて、人参とセロリをあえて外しましたが、もしあれば玉ねぎの半量ずつ加えてください。トマト水煮の代わりに、以前(第4回)作ったトマトソースを使ってみました。
材料(3〜4人分)
- オリーブオイル 大さじ2
- 合いびき肉 400g
- 玉ねぎ 1/2個
- ニンニク 1片
- 小麦粉 小さじ4
- 赤ワイン 60ml
- トマト水煮 400g
- 顆粒コンソメ 小さじ2
- ローリエ 1枚
- タイム 適量
- 塩 適量
- 黒コショウ 適量
作り方
1、玉ねぎとニンニクはみじん切りに、タイムとローリエはお茶パックに入れておく。
2、鍋にオリーブオイルとニンニクを入れ、香りが出たら玉ねぎ(あれば人参、セロリ)を入れて炒める
3、野菜が色づいてきたらひき肉を入れ、なるべく塊を崩さないように炒める。肉全体が炒まったら小麦粉をふり、粉っぽさがなくなるまで炒める。
4、赤ワイン、トマト水煮、顆粒コンソメ、ローリエ、タイムを入れ、よく混ぜる。塩、黒コショウを少しずつ足しながら味付けして、15〜20分ほど煮込む。途中、水分が飛んだらその都度水を加える。
5、肉がいい感じに柔らかくなり、鍋底が見えるくらいまでになったら完成!
6、パスタとからめたらこんな感じ!なかなかの出来!
まとめ
ボロネーゼとミートソース、同じだと思ってたけど色々違うのね。う〜ん、歴史ですな〜。粗びきだと肉の食感がほどよく残ってて、いつものミンチとは文字通り一味違う感じですよ。それほど時間のかかるソースでもないし、冷凍もできるので、是非作ってみてください!
ではでは今回はこのへんで、また次回も見てくださいね〜
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料理をどんどんアップしていきます。
参考資料
- 川上文代著 『イチバン親切なイタリア料理の教科書』 新星出版社 2013年
- 『るるぶ情報版 イタリア’20』 JTBパブリッシング 2019年
- 『地球の歩き方 イタリア 2019〜2020年版』 株式会社ダイヤモンド・ビッグ社 2019年
- dancyu 2021年 4月号 プレジデント社
- https://macaro-ni.jp/41577
- https://oceans-nadia.com/user/26/article/799#:~:text=%E3%81%8A%E3%81%AA%E3%81%98%E3%81%BF%E3%81%AE%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%AF%E3%80%81%E3%81%BD%E3%82%8D%E3%81%BD%E3%82%8D,%E7%A8%8B%E5%BA%A6%E3%81%97%E3%81%8B%E4%BD%BF%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%82
- https://delishkitchen.tv/articles/147